コンビニのローソンより2020年10月30日に発売された「麗溶けチーズテリーヌ(うるどけチーズテリーヌ)」。
チーズテリーヌはこれまで、一部の洋菓子屋やレシピサイト、レシピ本など、ごく一部の空間に存在していたチーズケーキだったのだが、ついにコンビニでも発売されるようになった。これから市民権を得ていくことだろう。
ここではそんなチーズテリーヌの解説と、ローソンの新商品のチーズテリーヌを食べた感想を紹介していく。
チーズテリーヌとは何か?
チーズテリーヌとは、単に四角いチーズケーキだといえる。明確な定義はない。
テリーヌと聞いて思い出すのはフランス料理のテリーヌという料理だろう。しかしフランス料理のテリーヌとチーズテリーヌはほぼ関係ないと筆者は考えている。
ちなみにフランス料理のテリーヌは、これはテリーヌ型を使って食材を圧縮したり、圧縮して火にかけたりする料理であり、日本料理でいうところの煮こごりに近いものだ。フランス料理のテリーヌの定義は、テリーヌ型を使って作った料理ということになっている。
一方でチーズテリーヌはテリーヌ型を使っているわけではなく、単に長方形のケーキ型(パウンドケーキ型)を使って作っているにすぎない。またテリーヌ型を使ったチーズテリーヌのレシピは一度も見たことがない。つまりチーズテリーヌとフランス料理のテリーヌは関係ないと考えられるわけだ。
チーズケーキとはショコラテリーヌのチーズ版である
おそらくチーズテリーヌは、ショコラテリーヌからきている。形も作り方もそっくりだからだ。ショコラテリーヌのレシピにおけるショコラを、クリームチーズに変えると、チーズテリーヌになる。つまり、チーズテリーヌは、ショコラテリーヌのチーズ版なのだ。
ちなみにショコラテリーヌに関しても、他のチョコレートケーキと明確な違いがあるわけではなく、様々な作り手が自由に、様々なショコラテリーヌを生み出しているそうだ。
チーズテリーヌも同じような状況で、明確な定義もないし、決まったレシピが存在するわけでもない。
チーズテリーヌは単なる長方形のチーズケーキ
まとめると、チーズテリーヌはただの長方形のチーズケーキだといえる。
おそらく「チーズテリーヌ」と表現したほうがオシャレで新しい感じがするから、作り手がチーズテリーヌと呼んでいるだけなのだろう。その意味では、チーズテリーヌが流行っているというより、「チーズケーキをチーズテリーヌと呼ぶことが流行っている」に過ぎない。
また最近は、パウンドケーキ型を使った長方形で、食感がしっとりしているチーズケーキが流行っている。呼び名は普通に「チーズケーキ」だったり「チーズテリーヌ」だったりするのだが、とにかく長方形のしっとりした質感のチーズケーキをよく見かける。しかも値段が少し高めで、3000円や4000円だったりする。(ホールのチーズケーキの相場は1000円~2000円)
話を戻すと、「長方形」「しっとりしている」「チーズテリーヌ」「値段が高い」という昨今のちょっとしたブームを、ローソンはいち早く取りいれたというわけだ。バスクチーズケーキに続いて本当に行動が早い。
【実食解説】ローソンの麗溶けチーズテリーヌ
ローソンの高級系スイーツ
さて今回のローソンのチーズテリーヌだが、「Uchi Café Spécialité」というシリーズで発売されている。
このシリーズは、「素材やメニューのシンプルな美味しさを追求した、“ご褒美スイーツ”シリーズです。」ということになっており、チーズテリーヌの他にも、モンブランやショートケーキ、スイートポテトなどが同時期に発売されている。
どれも高級感を打ち出したものになっており、値段も300円に近い。モンブランは320円で、ついに300円を超えた。
これまでローソンは、セブンイレブンに比べて一回り安い値段でスイーツを販売してきた。セブンプレミアムのような、高級路線の商品を販売することもなかったのだが、ここにきて「Uchi Café Spécialité」というシリーズによって、高級路線の商品を販売した。
これはローソンが高級シリーズを打ち出したかったからなのだろか。それとも値段を上げる名目としてなのか。
いずれにしてもこの高級路線が実験的な試みであることは間違いないだろう。この「Uchi Café Spécialité」のシリーズが今後も継続されるかどうかで、このシリーズの成否がわかる。
コンビニでは長方形のチーズケーキは珍しい
商品説明は以下の通り。
「ふんわりとした口あたりが心地よい口どけなめらかなチーズテリーヌ。2種のクリームチーズと生クリームを合わせ、低温で湯煎焼きを行なってなめらかに仕立てました。」
ローソン公式サイト
2種類のクリームチーズを使っていることをのぞけば、普通のベイクドチーズケーキと作り方は変わらないようだ。特に「生クリームを合わせ、低温で湯煎焼き」というのは、ニューヨークチーズケーキとほぼ同じだ。
冷めた言い方をすれば、たんなる長方形のチーズケーキなのだが、実はコンビニがこのようなチーズケーキを発売するのはめずらしい。
というのもコンビニチーズケーキといえば円形が一般的だからだ。
長方形のチーズケーキもなくはないが、それは焼き菓子タイプだったりカップタイプだったする。
生菓子タイプで、長方形で厚みがあるチーズケーキをコンビニが発売するのは珍しいのだ(コンビニのチーズケーキ一覧)。
おそらくローソンは、昨今の長方形チーズケーキブームを察知して、その流行りを取り入れたのだろう。
ベイクドなのにレアのような口溶けの良さ
食べた感想について。
まずとてもしっとりしていて、口当たりがいい。
バスクチーズケーキのねっとりとも違う。焼いているのにレアのようにしっとりした口溶けであり、同じくコンビニで流行っているイタリアンプリンにも近いかもしれない。
こういったベイクドタイプのチーズケーキなのに、レアのようにしっとりしていて口溶けがいいチーズケーキは最近のトレンドでもある。未だに入手困難な状態が続いている「Mr.Cheesecake」や一部で人気を博している「Cheesecake HOLIC」もそのタイプだ。
酸味を感じる大人のチーズケーキ
また酸味を感じる一方で甘さ控えめという、大人の味になっている。原材料名には濃縮還元レモンと記載されているので、レモンの酸味を加えているのだろう。
ただ若干、苦味も感じられる。ほんのわずかにという程度なので気にならない人もいるだろう。それでも、レモンの酸味があまり好きではない筆者は、レモンの苦味も感じてしまった。
全体的な完成度は非常に高い。ここまで口溶けがいいチーズケーキは、コンビニおいてはこれまでになかっただろうし、また長方形タイプで、レアのような口溶けのベイクドチーズケーキという、昨今の流行りをいち早く取り入れたことに対しても、とても評価したい。この行動の速さはさすがローソンだ。
しかし300円近い値段を考えると、気軽に買えるものではない。もう一度買いたいと思えるような商品ではないことをとりあえず書いておきたい。
値段、カロリー、商品説明など
値段 295円税込 カロリー 242kcal 製造者・販売者 コスモフーズ
※コスモフーズのチーズケーキ一覧
ふんわりとした口あたりが心地よい口どけなめらかなチーズテリーヌ。2種のクリームチーズと生クリームを合わせ、低温で湯煎焼きを行なってなめらかに仕立てました。
ローソン公式サイト