世田谷の閑静な住宅街にあるこのパティスリー 「オーボンヴュータン(AU BON VIEUX TEMPS)」には、ひときわ珍しいチーズケーキがあります。
「ル・トゥルト・フロマージュ」です。「トゥルト・フロマージュ」とも呼ばれるこのスイーツは、ヤギのチーズを使ったものなのですが、その見た目がすごい。
なんと真っ黒焦げなのです。
ブームになっているバスクチーズケーキも表面が焦げていますが、それとはまた違う焦げたチーズケーキ。
チーズケーキ界は表面を焦がしがちなのでしょうか。
いったいどんな味や食感なのか。ル・トゥルト・フロマージュを食べてみました。
「オーボンヴュータン」のル・トゥルト・フロマージュ
こちらがその「ル・トゥルト・フロマージュ」。
「そもそもル・トゥルト・フロマージュってなに? どんなチーズケーキ?」という話は後述するとして、表面は真っ黒です。
同じく真っ黒のバスクチーズケーキは、どこかしっとりした質感がありました。しかしこのトルトゥフロマージュはどちらかというと乾いたような、カラッとした質感があります。
店頭の説明では、「チーズケーキ」ではなく、「焼き菓子」と書かれていたので、ケーキというよりは焼き菓子に近い感じなのでしょう。
たしかに「焼き菓子といわれれば焼き菓子かも」と思うような質感ではあります。
さて、側面はタルト生地のようになっています。
そして断面はこちら。
なかには気泡があり、スポンジ的な質感がうかがえます。一般的なベイクドチーズケーキとはだいぶ違っており、どちらかといえばスフレとかカステラに近い感じ。
また土台(底)の部分は若干層のようにもなっていて、パイ生地のよう。
これまでのチーズケーキとは全く違うチーズケーキ
それでは実食、といきたいところですが、フォークを通そうとするも表面がけっこう硬い。「パイシチューの表面くらいからな」と思っていましたがぜんぜんレベルが違う。
で、食べてみるとかなり予想外。僕は勝手に「タルト生地にスフレをのっけたチーズケーキでしょ?」と思っていたのですが違いました。スフレチーズケーキよりは、もうちょっとふわふわで乾いた質感なのです。
チーズスフレはどこかしっとり感があって「やはりベイクドチーズケーキの一種だな」という食べごたえです。一方でこのトルトゥフロマージュは、もっと焼き菓子とかパンに近い。たとえるならデニッシュとか、ちょっと乾いた感じのあるカステラ。
表面の焦げはカチカチに固く、中身はデニッシュのようにふわふわ。土台はサクサクのパイ生地。これがオーソドックスなトゥルト・フロマージュなのかはわかりませんが、そんな印象です。
味ですが、これもデニッシュパンに近い。ただデニッシュと違うのは、チーズの酸味や独特の風味が微妙にあること。
ヤギのチーズを使っているからなのか、ヤギのチーズを思い切り食べたことがないので、その風味はわかりませんが、普段のチーズケーキともデニッシュともカステラなどとも違う、独特の風味があります。
で、その風味は全然邪魔なものではなく、いいアクセントになっていておいしい。
また、ふわふわのこの生地に表面の焦げの苦味が合わさります。
「これ焦げてるな」とはっきりわかるくらいの苦味なのですが、なぜかこれが邪魔ではない。なぜだかこの焦げがいいアクセントになっているわけです。
これまで食べたチーズケーキとはまった違いました。
チーズタルトでもない、チーズスフレでもない、ニューヨークチーズケーキでもない。それらとはまったく違ったチーズケーキです。
人によっては「これはチーズケーキではなく、チーズを使った菓子パンだ」と主張するかもしれませんが、なにより普段食べているチーズケーキとはまった違うタイプの食べものであることは間違いありません。
何より「わざと表面を焦がす」という料理の見た目を気にする日本人はなかなか考えつかないし、普及もしそうにないスイーツです。そのレア度はかなりのもの。
尾山台にいく機会があるなら、ぜひ食べてほしい逸品です。
トゥルト・フロマージュとは?(レシピもある)
今回紹介した「オーボンヴュータン」では「ル・トゥルト・フロマージュ」という名前でしたが、日本では「トゥルト・フロマージュ」と呼ばれることが多いようです。
「トゥルト・フロマージュ」とは、フランスの ポワトゥー地方に伝わるチーズケーキのこと。ヤギのミルクを使ったチーズを使う場合が多いそうなのですが、牛乳から使ったチーズを使うこともあるとのこと。
※参考:チーズケーキの旅
で、このチーズケーキは、間違えて高温の石窯入れて焼いてしまった失敗作から生まれたらしいです。
またまだ日本では馴染みがないチーズケーキですが、そのレシピはすでに公開されています。
レシピをみる感じ、タルト生地にチーズスフレの生地を流し込んで高温で焼いているようです。つまり、スフレタルトですね。しかしながら使うチーズや高温で焼くことで、スフレとはまた違う食感、風味になるのでしょう。
「AU BON VIEUX TEMPS(オーボンヴュータン)」の詳細(公式サイトや営業時間、お店の様子など)
オーボンヴュータンは、東急大井町線・尾山台駅から徒歩7分の場所にあるフランス菓子専門のパティスリーです。
オーナーの河田勝彦氏は、日本におけるフランス菓子の第一人者とも呼ばれているそうで(ウィキペディアもある)、フランスで9年の修行の後、このお店を開いたそうです。
また日本の卓越した技術に対して、厚生労働省から表彰をうける「現代の名工」にも選出されている凄腕パティシエです。
オーボンヴュータンはそんな、すごいパティシエがオーナーを務める、すごいお店なんです。
ちなみに尾山台の店にはカフェスペースもあるようです。訪問時は利用できなかったので、雰囲気がわかりませんが、Googleのレビューや食べログには、カフェスペースの写真がいくつか掲載されているようなので、チェックしてみてください。
ル・トゥルト・フロマージュの値段
ヤギのチーズを使った焼菓子
店舗説明より
値段 | 2100円 |
メニュー名 | ル・トゥルト・フロマージュ |
チーズケーキのジャンル | トゥルト・フロマージュ |
カロリー | 記載なし |
クリスマス前だったので、たまたまメニューが豊富だったのかもしれませんが、本当に色々なスイーツがおいてあり、訪問するだけでも楽しい。さすが食べログのスイーツ百名店に選ばれているお店。
※スイーツ百名店はこちら
その他当ブログでは色々なお店のチーズケーキを紹介しています。
コメント