800以上の店舗を展開する日本を代表するケーキ屋の不二家。人が集まる大きな駅だけでなく、住宅が広がるローカルな駅にもお店を構え、スイーツによって日本のハレノヒを支えてきました。
そんな不二家で購入したチーズケーキをいくつか紹介します。
プレミアム濃厚ベイクドチーズケーキ
続いては「プレミアム濃厚ベイクドチーズケーキ」です。
先のチーズパイが390円だったのに対して、こちらは480円です。
一見、普通のベイクドチーズケーキで、どうプレミアムだかわからないのですが、商品説明をみると色々な工夫がくわえられていることがわかります。
チーズはクリームチーズだけでなくマスカルポーネやグラナ・パダーノ(牛乳を原料にしてつくるハードタイプで、熟成させるタイプのチーズ)、カマンベール(白カビを使って熟成させるチーズ)を使用しているそうです。クリームチーズのようなやわらかいチーズだけでなく、カマンベールのようなちょっとクセのあるチーズも使用しています。
チーズの味を楽しめる、ひとクセあるチーズケーキ
口にいれてまず感じるのは、ねっとりして食感です。また土台になっている厚めに設けられたクッキー生地は、ほろほろした食感で、ねっとりしたチーズケーキと非常に相性がいいです。
そして味が素晴らしい。咀嚼するとクリームチーズの優しい風味だけでなく、熟成させたチーズの深みというか、複雑なというか、なにか重層的な味、風味を感じられるのです。
先に紹介したチーズパイに比べると塩味、味の深さ、複雑さが違います。「プレミアム」と商品名についているだけあり、チーズの味をしっかり感じられます。
不二家のような大衆系のケーキ屋でこのようなちょっとひとクセあるケーキが食べられるとは思いませんでした。大手チェーンだからといって侮るべからず。いや大手チェーンですからこそ、妥協がない商品があるといえるのでしょうか。
不二家のチーズケーキを食べるのはこれが初めてですが、意外でした。
※商品説明
クリームチーズをメインにマスカルポーネ、グラナ・パダーノ、カマンベールをアクセントに加えたワンランク上のこだわりのチーズケーキです。
公式サイトより
不二家が販売しているもう1つのチーズスイーツ「なめらかチーズパイ」は以下のページで紹介しています。
不二家の歴史、不二家が日本洋菓子界に与えた影響など
今回訪問したケーキ屋の不二家は、株式会社不二家が運営するお店です。ペコちゃんでおなじみの会社です。
ご存知のとおり不二家はケーキ屋だけでなく、お菓子や清涼飲料水の製造・販売も行っています。ペコちゃんキャンディやネクターなどが有名です。またコンビニやスーパーを対象にしたケーキやお菓子の製造・販売もしており、このブログでも度々紹介してきました。
不二家のケーキ屋は全国に約800店
不二家のケーキ屋は、日本全国に800以上の店舗を出店しており、異論のない日本を代表するケーキ屋の1つです。
ちなみに競合としてすぐに思い浮かぶコージーコーナーの店舗数は約400店。シャトレーゼは約500店です。洋菓子屋としては不二家が断トツかと思いきやそうではなく、チョコレートやプリンで有名なモロゾフは、全国になんと1200店を出店しています。思い出してみるとたしかにモロゾフはあちこちでみかけます。(モロゾフのチーズケーキはこちら)
モロゾフがデパートやショッピングモール、駅ビルなどの商業施設に出店しているのに対して、不二家は街の商店街に多い印象です。筆者が育った大田区の小さな駅にも喫茶スペースを併設した不二家があります。
察するに、モロゾフは手土産や差し入れ、プレゼントなどフォーマルな場を想定した商品ラインナップと立地であるのに対して、不二家は家庭での祝い事や少人数でプチ贅沢をしたいときを想定した商品ラインナップと立地なのでしょう。クリスマスにショートケーキを買う習慣を根付かせたのは不二家であるといわれているのですが、そのことからも不二家が家庭向けのケーキを販売していることがうかがえます。
現在ではコンビニやスーパーで美味しいスイーツを手軽に買えますが、コンビニやスーパーのスイーツが充実していなかった時代は、不二家のような街のケーキ屋の存在が必要だったのでしょう。
不二家の歴史
不二家が創業したのは1910年、明治43年です。創業者である藤井林右衛門は、当時ハイカラな街として知られていた横浜に店をオープンしました。
横浜にオープンした不二家は狭い店舗でありながら、喫茶スペースを設けてコーヒーや紅茶を提供しました。またこの頃の洋菓子といえば焼いた菓子が主流だったのだが、当時としては珍しいシュークリームやデコレーションケーキなどを販売し注目を集めたといいます。
創業した年の1910年にはすでにクリスマスケーキを販売しており、日本初のクリスマスケーキは不二家であるという説もあります。また1922年には「フランス風ショートケーキ」を販売。これは現在日本で一般的にみられるスポンジ、クリーム、苺を使ったショートケーキでした。
ちなみに不二家という屋号は、2つとないと意味の「不二」、そして日本を代表する山である「富士山」にかけて命名したものです。
1912年には創業者である藤井林右衛門は渡米。この渡米の経験もあってか、他の菓子屋がフランスのパティスリーにならうなか、不二家はアメリカ系のケーキ屋に進化していきました。いうなれば大量生産、多店舗展開です。
そんな不二家ですが、関東大震災や大戦でいくつかの店舗を消失しています。それでもめげずに営業を続け、1950年に代表キャラクターであるペコちゃんを制定。
1973年にはサーティワンアイスクリームで知られるバスキンロビンス社と提携し、日本でサーティワンアイスクリームを展開。
1982年にはフランスの老舗「ダロワイヨ」とライセンス契約を結び、日本に本場フランスのケーキの味を導入しました。2007年には日本の大手製パン業者、山崎製パンと業務提携を果たしました。
ケーキといえばショートケーキ。日本におけるショートケーキの原型を作ったのは不二家であり、またクリスマスにケーキを買う習慣を根付かせたのも不二家だといわれています。
もちろんそれで失われた日本特有の文化もあるでしょう。細かい批判をいくらでもいえます。それでも不二家が、日本の洋菓子界にもたらした影響は、計り知れないほど大きいものであることは、異論ないでしょう。
不二家の存在について「ブールミッシュ」の創業者である吉田菊次郎は、自身の著書のなかで以下のように記しています。
ファミリー・レストランで ハッピータイムを、サーティーワンで選べる立食アイスクリームの楽しさを教えて くれた。加えてその後、提携したパリの銘店ダロワイヨーの美味で、お菓子の真髄 をわれわれに示してもくれている。不二家、それはまぎれもない近代日本の甘き宣教師、そしてそのすべてが林右衛門氏名付けるところの”不二家”の屋号に帰結する・・・・・・そんな気がしてならない。
我が国の甘き世界に計り知れない貢献を果たした甘き血潮は、この後も耐えることなく受け継がれ広く語り継がれていくことであろう。
※主な参考資料
不二家の公式サイトとSNS
その他、不二家のケーキ
今回はチーズケーキだけでなく、ショートケーキとチョコ生ケーキも購入しました。
ショートケーキ(2021年3月頃)
日本でショートケーキをはやらせたのが、不二家だといわれています。そんな不二家のショートケーキがこちら。
スポンジを2段。真ん中に生クリームと苺の、3層タイプのオーソドックスなショートケーキです。
ちなみに不二家にはもう一種類のショートケーキがあります。「プレミアムショートケーキ」という今回購入した普通のショートケーキよりも80円高い520円で販売されているもので、プレミアムのほうはスポンジ生地が3層、苺の使用量が少し多いです。苺ではなく、シャインマスカットを使ったショートケーキもあります(季節限定の可能性あり)。
他にも不二家にはショートケーキのような、苺、スポンジ、生クリームの組み合わせのケーキが多いです。たとえば「国産苺のロールケーキ」や「国産苺のプリンショート」などがあります。
ケーキ屋のショートケーキは久しぶりであり、普段は食べないので他店との比較はできませんが、普通に美味しいケーキでした。
それにしても、一昔前に比べると生クリームが軽くて食べやすくなっている気がします。最後の一口まで、くどさを感じることはなく、途中で胸焼けすることもありませんでした。食べやすく美味しいショートケーキでした。
チョコ生ケーキ(2021年3月頃)
もう1つ購入したのが、「チョコ生ケーキ」という商品です。
チョコレート系のケーキといっても色々ありますが、今回購入したのは、チョコレートのスポンジ生地と、チョコレートのホイップクリームを使ったケーキです。またチョコチップも入っています。
味も食感も全体的に優しく、とても食べやすいチョコレートケーキです。大人も子供も美味しくいただけるのではないかと思います。
ミルクレープ
こちらは定番で発売されているミルクレープです。
表面にあんずソースを塗ったつややかな装いです。クレープ生地はやや集めで、クレープのもちっとした食感をしっかり味わえるようになっています。
クリームをしっかり入っており、クリームもクレープを存分に楽しめます。
他にも不二家には、モンブランやミルクレープ、抹茶ケーキ、サバラン、シュークリームなどケーキや、チーズケーキについては今回紹介した2つだけでなく、スフレチーズケーキもあります。
同じくチェーンのケーキ屋であるコージーコーナーにまったく引けを取らないラインナップです。
※コージーコーナーのチーズケーキ
ラインナップは公式サイトに掲載されている(不二家のケーキ一覧)。
フォルマッジタルト(販売終了、2021年12月頃)
ふわふわ系のタルト生地に、Kiriのクリームチーズを使用したクリームとナッツ、そしてベイクドチーズケーキをのせた華やかなケーキです。個人経営のパティスリーに並んでいても見劣りしなさそうです。
「kiri」の文字が書かれた札がありますが、これはKiriのクリームチーズを販売するベルジャポンが「キリフェスティバル」を開催しており、不二家もそれに参加しているからです(キリフェスティバルの公式サイト)。このキリフェスティバルでは参加している事業者はkiriのクリームチーズを使ったケーキを販売しています。この期間は、コンビニやスーパー、洋菓子屋にKiriのクリームチーズを使った商品が急増します。
このフォルマッジタルトはキリフェスティバルにともなって販売されたようです。そのためイベントが終了すると販売されなくなる可能性があります。
食べた感想ですが、全体的にぼやっとした印象で、特別な感動があるかという微妙です。
一方でボリューミーで食べごたえがあり、普通に美味しいという感じ。チーズケーキのもっさり感にナッツのザクザク、タルトのもそもそなど、色々な食感があり、またそれぞれの味、風味を一同に楽しめます。
ハニーチーズミルクレープ(販売終了、2021年12月頃)
続いては「ハニーチーズミルクレープ」です。
Kiriのクリームチーズを使ったミルクレープです。はちみつも使用しています。先のフォルマッジタルトと同様、キリフェスティバルで発売された商品のようなので、期間限定の可能性があります。
ちなみにKiriのクリームチーズを使ったミルクレープは、セブンイレブンでも以前発売されていました。
もちろんこれとはまったく別の商品です。
不二家でははちみつも使っており、そのクリームチーズの風味とはちみつの風味を調和を楽しめます。
クレープ生地はやや厚めなので、全体的にもふっとした食感になります。クレープ生地の存在感が強いせいもあってか、クリームチーズの印象は弱めです。
しっかりしたボリューム感の不二家らしい一品です。個人的にはけっこう好きです。
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