「Top’s(トップス)といえばチョコレートケーキ」という人が多いかもしれませんが、チーズケーキを忘れてはいけません。
実はトップスは、日本でチーズケーキが一般的ではなかった時代からチーズケーキを提供しているお店なのです。「日本で初めてレアタイプのチーズケーキを提供したのはトップスなのでは?」という説もあるほど。
トップスは、日本におけるチーズケーキの歴史を語るうえで絶対に欠かせないお店の1つです。今回はそんなトップスの歴史を紹介するとともに、そのチーズケーキの魅力を紹介していきます。
Top’s(トップス)のチーズケーキについて(食べた感想など)
それでは本題、トップスのチーズケーキを紹介します。
※ケーキの質感やサイズ感がわかる動画もあるので、お時間がある方はぜひこちらもみてほしい。
タイプとしてはレアチーズケーキですが、商品名は「生チーズケーキ」もしくは「チーズケーキ」になっています(店舗によって微妙に名前が違う)。
これはおそらく「ベイクド」や「レア」「スフレ」といった分類が一般的ではない時代から、トップスがチーズケーキを販売しているからでしょう。そういった分類がなされるようになるのは、チーズケーキが一般的になる1970年以降だと考えています。(参考:ファッショフード、あります。 畑中三応子)
さて、トップスのチーズケーキですが、円ではなく四角いタイプです。
そしてなにより特徴的なのは表面の装飾です。ホイップクリームで模様が描かれています。
一般的にチーズケーキは、ショートケーキやフルーツのタルトといったケーキに比べると地味な見た目になりがちです。
そんな地味な見た目を飾るためにカフェやレストランでは、チーズケーキにジャムやミントをトッピングしたりナパージュといわれるゼリー上のものをコーティングしたりします。
一方でトップスのチーズケーキは、トッピングをするのではなく模様を描くことがで華やかさを演出しました。これはチーズケーキだけではなく、チョコレートケーキも同様です。
トップスは全国に店舗を展開しているチェーンの洋菓子屋です。つまり毎日、大量のケーキを製造しているわけです。
その1つ1つにこの模様を描いているというのはすごいことです。
ねっとりしたハードタイプのレアチーズケーキ
断面も美しい。表面にホイップクリーム、中心にレアチーズ、土台にクッキー生地という3層構造です。
レアチーズ部分は、かなりねっとりしています。
レアチーズケーキといえばムースのようにふわっとしたものが主流で、特にコンビニやスーパーのレアチーズはやわらかいものばかりです。
一方でトップスのチーズケーキはかなりねっとりしていて、舌にからみつく感じがあって、飲み込んだあとも風味が口のなかに残ります。ドリンクとの相性も抜群です。
酸味が際立つ大人のチーズケーキ
味はとても濃厚です。そして酸味が印象的です。人によっては「酸っぱい」とストレートに感じると思います。
それでも、いい感じに甘さとビスケット生地がバランスをとっており、気になることはありません。好き嫌いはわかれるかもしれませんが、上品で大人の味わいを楽しめるチーズケーキです。
老舗のチーズケーキを彷彿とさせる味、食感
トップスのチーズケーキは高円寺の「トリアノン」のロイヤルチーズケーキや、赤坂の「しろたえ」のレアチーズケーキを彷彿とさせます。
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「トリアノン」も「しろたえ」 もねっとりしたハードタイプで、酸味が際立つチーズケーキです。そして両者とも古くからあるケーキ屋です。(トリアノンは1960年創業、しろたえは1978年創業)
どこか似ているような気がするのは、トリアノンもしろたえも、トップスのチーズケーキを少なからず参考にしているからなのでしょうか。トップスのレアチーズケーキが、日本のレアチーズケーキの元祖だとすれば、その可能性も十分にあると思います。
Top’s(トップス)について(歴史や商品ラインナップなど)
1964年、赤坂でアメリカンレストランとしてオープン
デパ地下やショッピングモールでよくみかける洋菓子屋のイメージが強いかもしれませんが、もともとはTop’sはアメリカンレストランとして創業しました。
創業は1964年。赤坂の旧TBS会館内で、外国人を受け入れるためのレストランとしてオープンしました。現在人気のケーキはそのレストランでデザートとして提供していたものでしたが、評判が良く「ぜひテイクアウトしたい」という要望が多くあり、店頭販売もはじめたそうです。
現在はざくろホールディングスの傘下
現在は株式会社ざくろホールディングスの傘下となっています。ざくろホールディングスは「Key’s cafe(キーズカフェ)」というセフルタイプのカフェも展開しており、カフェの一部の店舗ではトップスのケーキやカレーも提供されています。
※トップスのレストラン・カフェ一覧
トップスには後に紹介するチーズケーキ以外にもいろいろなケーキと洋菓子があります。
一番人気はチョコレートケーキ
トップスで昔から人気の商品といえば、やはりチョコレートケーキ。
このチョコレートケーキはガトーショコラや最近人気のテリーヌショコラとはちょっと毛色が違います。チョコレートクリームとスポンジケーキの層になったケーキで、しかもなかにはくるみが入っているのです。
チョコレートクリームは非常に濃厚ですが、スポンジケーキがあるので、軽やかな印象です。他ではあまりないタイプのチョコレートケーキなので食べたことがない人はぜひ一度食べてほしいケーキです。
日本でいち早くチーズケーキを提供したお店
トップスは1965年に、日本でいち早く焼かないタイプのチーズケーキを販売したお店といわれています(諸説あり)。トップスよりも前にレアチーズケーキを日本で提供していたお店はまだ確認できていないので、レアチーズを初めて提供したのがトップスである可能性が高いと私は思っています。(ベイクドチーズケーキは1950年代に提供されている可能性がある)
※詳しくはこちら:【チーズケーキの歴史】チーズケーキの発祥と日本におけるチーズケーキ歴史)
日本でチーズケーキが一般的になるのは1970年以降です。つまりトップスは早期から日本でチーズケーキを販売していたのです。
ちなみにレアチーズケーキの発祥は日本であるといわれることがありますが、微妙に違っています。「レアチーズケーキ」という言葉は日本独自なのですが、焼かないタイプのチーズケーキは紀元前から存在するものだからです。
参考:チーズと文明 ポール・キンステッド
お店の公式サイトや各種リンク
その他、関連記事
その他、当ブログではいろいろなお店のチーズケーキを紹介しています。
モロゾフやユーハイム、アンリ・シャルパンティエなど、トップスと同じくデパートなどでよく見かける店のチーズケーキは以下のページでまとめています。
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