モロゾフやユーハイム、トップスなどデパートの菓子フロア(いわゆるデパ地下)でよく見かける洋菓子屋のチーズケーキをまとめて紹介する。
全国にお店がある大手チェーンの洋菓子屋がほとんどであるが、そのチーズケーキは個人のケーキ屋にまったく引けを取らない見た目、美味しさのものばかりだ。
トップスやブールミッシュ、資生堂パーラーのチーズケーキは特におすすめなのでぜひ一度、食べてみてほしい。
【モロゾフ】デンマーククリームチーズケーキ


モロゾフは1931年に、ロシア人のモロゾフ氏が神戸で創業した洋菓子屋だ。
筆者はデパートを見つけると必ず洋菓子エリアを覗くようにしているのだが、驚くほど、多くのデパートにモロゾフが入っている。調べてみたら2020年12月現在、1,243店あるそうで、モロゾフはデパ地下の顔というべき存在になっている。
そんなモロゾフのチーズケーキは「デンマーククリームチーズケーキ」というシンプル仕立てのチーズケーキだ。このデンマーククリームチーズケーキは1969年から発売しているもので、このチーズケーキがきっかけになって1970年代にはチーズケーキブームが起きたといわれている。
モロゾフ
ふわっとしたやわらかい質感で、その味は控えめ。ほどよく酸味があり、クドさがなくとても食べやすいチーズケーキで、優しい味のチーズケーキが好きな方におすすめしたい。
他にもモロゾフにはレアチーズや小さいサイズのチーズケーキがある。手のひらサイズで、手軽食べられるにもかかわらず、とても美味しい。筆者個人としては、このミニサイズのほうがおすすめである。
値段 | デンマーククリームチーズケーキ 14cm:648円 17cm:1080円 チーズケーキミニ 1個162円 |
日持ち | 当日中 |
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店舗数 | 全国約1200店 |
【トップス(Top’s)】チーズケーキ


チョコレートケーキでも有名なトップス。ケーキ屋のイメージがあるが、実はもともとは洋食レストランだった。ケーキはそのレストランで提供していたものなのだが、テイクアウトしたいという要望が多くあり、ケーキの販売もはじめたという。
チーズケーキも創業当時(1964年)から提供していたものであり、レアチーズケーキとして、日本で最初に提供していた可能性がある。
その味は、甘さ控えめで酸味が際立つ一方で、濃厚でコクがある。また食感はねっとり硬めで、爽やかなのにとても食べごたえがあるレアチーズだ。

値段はちょっと高いが、筆者このレアチーズケーキがとても好きで、3、4回ほど食べている。
値段 | チーズケーキ 2,100円 チーズケーキミニ 1,100円 |
日持ち | |
カロリー | 100g 388kcal |
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店舗数 | 約100店(レストラン・カフェ含む) |
【ユーハイム】チーズケーキ


ユーハイムと聞いてイメージするものはバウムクーヘン、もしくはクッキーではないだろうか。しかし実は一部の店舗では、チーズケーキも販売している。
ユーハイムは、第一次世界大戦の際に、青島から日本軍捕虜として連れてこられたドイツ人、カールユーハイム氏の手によって誕生した洋菓子屋だ。
ドイツ菓子屋として誕生したが、現在はバウムクーヘンやドイツ菓子だけでなく、チーズケーキやモンブランなど、一般的な洋菓子もある。

ユーハイムのベイクドチーズケーキはずっしりしている。物理的な重さはもちろんのこと、濃厚で重厚感のある味わいなのだ。ドイツらしい、がっしりした重量感があるチーズケーキだといえる。筆者はこういったチーズケーキがとても好きだ。
その他、ユーハイムにはオンラインショップ限定のチーズケーキもある。カマンベールチーズを使ったチーズケーキもあって、深みのある味を楽しめる。
値段 | 465円(店頭のチーズケーキ) |
日持ち | 当日中 |
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店舗数 | 約300店 |
備考 | チーズケーキがあるのは一部の店舗のみ。電話で確認するのがおすすめ。 |
【アンリシャルパンティエ】Wチーズケーキ


アンリシャンパルティエは、1969年兵庫県芦屋で創業した洋菓子屋だ。店頭には宝石のようにキラキラした美しいケーキが並んでおり、デパ地下のなかでもひときわ目立っている。またお店のフィナンシェは、世界一売れたということでギネス認定された。
そんなアンリシャンパルティエのチーズケーキはかなり特徴的だ。
こちらの「Wチーズケーキ」というチーズケーキは、レアとベイクドを重ね合わせ、そのまわりをクランブルで覆った黄金のチーズケーキだ。これまで味わったことがない味、風味、食感に、筆者はとても感動したのを覚えている。ぜひ一度食べてほしい。

値段 | 1296円 |
日持ち | 購入後2日以内 |
カロリー | 1132kcal |
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店舗数 | 約100店舗 |
【ブールミッシュ】レアチーズ、バスク風チーズケーキ


「ブールミッシュ」は1973年に吉田菊次郎氏がオープンしたお店だ。吉田菊次郎氏は、日本を代表する菓子職人としてメディアにも度々登場し、また日本における西洋菓子の歴史を研究した著書なども出版しているお方だ。その著書には幾度となくお世話になっている。
ブールミッシュにはレアチーズケーキとバスクチーズケーキがある。どちらもねっとり硬めの質感で、コクがあり、味わい深さもある。
筆者としては特にレアチーズケーキが好きだ。ケーキ屋のレアチーズケーキは、ムース状にだったり、ホイップクリーム状だったりとふわふわした柔らかいものが多い。一方でブールミッシュのレアチーズケーキはがっしりした質感があってとても食べごたえがある。
好き嫌いは分かれるかもしれないが、どっしり、しっかりしたチーズケーキが好きならぜひ味わってもらいたい。
【資生堂パーラー】チーズケーキ


1902年、薬局屋であった資生堂の一角で日本初の「ソーダ水」を出したことから始まった資生堂パーラー。今ではデパ地下代表する洋菓子屋の1つになっている。
こちらのチーズケーキは他店とはうってかわって、小さくて常温保存できるタイプだ。一口で食べられる小さいチーズケーキなのだが、その大きさからは想像できないほど、濃厚で重量感があったパワフルだ。
常温保存できるチーズケーキでここまでパワフルなものはみたことがない。
また季節限定のチーズケーキもあって、筆者は秋のマロンのチーズケーキを食べたことがある。冬にはストロベリーのチーズケーキが発売されていたようだ。
値段 | 3個 990円 6個 1996円 12個 3888円 |
日持ち | 常温60日 |
カロリー | 102kcal/1個 |
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店舗数 | 約90店 |
【アンテノール】チーズケーキ、バスクチーズケーキ、フロマージュキューブ


アンテノールは1978年に神戸北野で誕生した洋菓子屋だ。現在はエーデルワイスという会社のブランドになっており、系列店としては「WITTAMER(ヴィタメール)」や「HIBIKA(ひびか)」などがある。
アンテノールは、全国に40店舗を持つ大手にもかかわらず、街のパティスリーのような華やかなケーキがたくさんある。しかも季節の食材をふんだんに使ったケーキが多く、シーズンごとにケーキのラインナップがガラッと変わる。いつ行っても飽きないお店である。
地味になりがちなチーズケーキも、季節の食材をつかい、表面に美しく盛り付けてあるり、そして味も、もちろん美味しい。
ベイクドチーズケーキ 瀬戸内レモンのチーズケーキ マンゴーレアチーズ バスクチーズケーキ フロマージュキューブ
また一口サイズのチーズケーキであるフロマージュキューブは、小さいながらとても濃厚で美味しい。迷ったらフロマージュキューブがおすすめだ。
【C3(シーキューブ)】北海道チーズフォンデュケーキ


C3(シーキューブ)はアンリシャンパルティエなどを運営する株式会社シュゼットのブランドの1つだ。アンリシャンパルティエの系列店ではあるが、そのチーズケーキはまったく違う。
「北海道チーズフォンデュケーキ」という独特なチーズケーキだ。側面がタルト生地に覆われており、なかはカスタードクリームのようにとろとろ。まさにチーズフォンデュのようなチーズケーキだ。
タルト生地のザクザクとトロトロのチーズケーキの緩急を楽しめる、きわめて現代的なチーズケーキだ。味はもちろんのこと、断面の映えも申し分ない。
値段 | 1500円 |
日持ち | 当日中 |
カロリー | 1526kcal |
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店舗数 | 約40店 |
【ダロワイヨ(DALLOYAU)】バスク風チーズケーキ


「ダロワイヨ(DALLOYAU)」は、1802年にフランス・パリで創業し、1982年に東京の自由が丘に上陸したいわゆる外資系のお店だ。生菓子だけでなく焼菓子やパン、そして一部の店舗ではフランス料理も提供する、フランス食のお店だ。
フランス系の洋菓子屋ではあるが、スペイン発祥といわれるバスク風チーズケーキも販売している。しかもユニークかつ大胆な解釈のバスクチーズケーキだ。
なんとカスタードクリームを混ぜており、そのまろやかでとろける口どけを楽しめる。意外と甘さは控えめで、落ち着いた奥深く、クセになる味わいだ。

バスク風チーズケーキとしては異色であり、唯一無二の見た目、味わいである。
味や食感はもちろんのこと見た目にもまったく妥協がない。「さすがフランスの老舗」といいたくなるようなバスク風チーズケーキだ。
値段 | 400円 |
日持ち | 当日中 |
カロリー | 不明 |
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店舗数 | 19店 |
【グラマシーニューヨーク】ニューヨークチーズケーキ


店構えが特徴的な洋菓子屋「グラマシーニューヨーク」は、プレジィールという日本の会社のブランドだ。プレジィールは他にも「オードリー」や「ファウンドリー」といったブランドを有しており、どれもデパ地下や駅ナカなどの商業施設に入店している。
さてグラマシーニューヨークのチーズケーキはもちろんというか、やはりというか、ニューヨークチーズケーキだ。しかも3種類ある。
1つはホールケーキのニューヨークチーズケーキ。2つ目はホイップクリームのトッピングがあるカットタイプのニューヨークチーズケーキ。
そして3つ目は常温保存が可能な焼き菓子タイプのニューヨークチーズケーキだ。
ホールケーキ カットケーキ 焼き菓子タイプ
ホールケーキとカットケーキのニューヨークチーズは恐らく同じチーズケーキで、ホールケーキかトッピングがあるかの違いしかないと思われる。
焼き菓子タイプのニューヨークチーズケーキは、もふもふで菓子パンに近い質感だ。無印良品の不揃いチーズケーキに近い。
個人的にはカットケーキタイプをおすすめしたい。
値段 | ホールタイプ:1620円 カットケーキタイプ:540円 焼き菓子タイプ:1080円(5個入り) |
日持ち | ホールタイプ:当日 カットケーキタイプ:当日中 焼き菓子タイプ:約40日 |
カロリー | ホールタイプ:記載なし カットケーキタイプ:記載なし 焼き菓子タイプ:105kcal |
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店舗数 | 19店 |
その他、店舗数が少ないデパ地下系洋菓子屋
【銀のぶどう】かご盛り白らら

「銀のぶどう」は「シュガーバターの木」で有名なお店だ。「東京バナナ」や「ねんりん家」といった人気ブランドを有するグレープストーンという会社が運営している。
そのチーズケーキは「かご盛り白らら」というだいぶ変化球的なチーズケーキだ。これはホイップクリームとクリームチーズをそのまま混ぜたようなふわふわのケーキで、カッテージチーズにも近い質感だ。
このまま食べても美味しいのだが、何分シンプルなので途中で飽きてしまうかもしれない。ジャムやクランブルなどをトッピングして食べるのがおすすめだ。
【casaneo(カサネオ)】3層のチーズケーキ

「casaneo(カサネオ)」はアンリシャンパルティエなどの洋菓子屋を運営するシュゼットのブランドだ。ミルクレープ専門店なのだが、チーズケーキもある。
「3層のチーズケーキ」という数種類のチーズケーキを重ねて、表面にクルミや板チョコなどをトッピングした、非常に華やかチーズケーキだ。値段はちょっと高いが、一食の価値はあると思う。
【おわりに】デパ地下のケーキ屋は選ばれしお店

デパ地下にあるケーキ屋は、”選ばれしケーキ屋”でもある。デパ地下にどんなお店を入れるかは、デパート側が決めており、どれだけおケーキ屋側が頭を下げてもデパートの人間が首を縦にふらなければ出店はできない。その意味ではデパ地下に入居しているケーキ屋は、デパートのお眼鏡にかなったよりすぐりのケーキ屋なのだ。
一方で、デパートからお声がかかっても断ることがあるという。なぜならその資本がないからだ。自分の店を切り盛りしながら、デパートで販売するケーキを製造しなければいけない。また配送の手配やスタッフの準備もしなけばいけない。デパートに出店できれば、儲かるかもしれないが、そのために生産体制を整えたり、人を用意したりするのは大変だ。
その意味では、多くのデパ地下に入店している洋菓子屋は、本当にすごいお店だといえる。街のケーキ屋に負けず劣らずの高いクオリティのケーキを、全国のデパ地下に毎日配送しているのだから。
別の見方をすればデパ地下のケーキは、大量生産によって作られたケーキであり、昨今レベルが上がっているコンビニのスイーツと大してかわらない言うこともできるだろう。それは確かに正しい。
一方でコンビニスイーツのレベルが上がっている時代だからこそ、デパートの洋菓子屋は、今が正念場だと、コンビニに負けないために試行錯誤している最中だろう。おそらく今後のデパ地下のケーキ屋、コンビニでは買えないような、あっと驚くケーキを販売してくるに違いない。そうしなければ生き残れないのだから。これからも注意深くデパ地下のケーキ屋を、とくにチーズケーキを追っていきたい。
またわれわれスイーツ好きにいつも驚きと感動と、至福のひとときを提供してくれるデパ地下を、これからも積極的に応援していきたい。