デパ地下のドンとも呼べるくらい、多くのデパ地下に出店しており、手土産の定番にもなっているモロゾフ。実は日本の洋菓子界に多大な影響を与えたお店の、歴史や特徴と、看板商品の1つであるチーズケーキを紹介します。
※一部店舗限定の白いチーズケーキは以下のページで紹介中
>【モロゾフ】一部店舗限定のカップチーズケーキ「白いチーズケーキ 酪」を購入・実食レビュー
モロゾフ(Morozoff)の歴史や店の特徴について
まずはモロゾフとは? という話から。(ちょっと固い話が続きます…)
モロゾフは1931年に神戸で創立した洋菓子屋。チョコレート菓子や焼き菓子、その他、プリン、焼き菓子といった豊富な商品を揃えるお店で、デパ地下を中心に1,243店あります(2020年12月)。
この数は圧倒的で、たとえば街のケーキ屋として有名な不二家は約800店、コージーコーナーは約400店となっています。
ちなみにドトール系列のお店(ドトール、エクセルシオール、その他)が全国に1,301店あるそうで、その数とだいたい同じくらい。ドトールと同じくらいモロゾフはあると思えばいいわけなのですが、それにしてもものすごい店舗数です。
その人気と知名度は不動のもので、日本のデパ地下、特に関西のデパ地下には必ずといっていいほどモロゾフが入っています。またモロゾフは上場している稀有な洋菓子屋でもあります。
モロゾフはロシア革命から逃れたロシア人が開業した
フョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一というロシア人が開業したお店です。創業者の名前から、モロゾフという店名になっています。
モロゾフさんは、ロシア革命から逃れる形でロシアからハルビン、シアトルを経て、1924年に神戸に到着。
その頃の日本は西洋化を進めるべく躍起になっている時期であり、それを目にしたモロゾフさんは西洋の食品を日本で売ることを決意。試行錯誤の末に、チョコレート菓子を中心に販売する洋菓子店に。
それがモロゾフの原型です。
ちなみに、同じように海外から日本に移住し、後の有名洋菓子屋を開いた人がいます。それがカール・ユーハイム。彼は日本で「ユーハイム」という、同じくデパ地下で人気の洋菓子屋を開業しました。
モロゾフは日本でチーズケーキブームを起こした
実は、モロゾフは日本で第一次チーズケーキブームを起こしたお店だと考えられています。
モロゾフがチーズケーキの販売を始めたのは1969年。それ以前にもチーズケーキを販売するお店は存在していましたが、一般的な洋菓子ではありませんでした。
しかし1969年、モロゾフがチーズケーキを販売。また1970年にフィラデルフィア社のクリームチーズが発売されたこともあり、日本でチーズケーキがブームになります。
この頃から多くのケーキ屋がチーズケーキを販売するようになり、また「ノンノ」や「アンアン」といった女性誌でもチーズケーキの特集が組まれるように。チーズケーキは一般的な洋菓子の1つに成り上がったのです。
※参考:ファッションフード、あります。: はやりの食べ物クロニクル1970-2010 畑中 三応子 (著)
日本におけるバレンタインチョコを考案したのはモロゾフ
また、モロゾフは日本にバレンタインデー文化をもたらしたことでも有名。
1936年、チョコレート菓子が主力商品だったモロゾフは、外国人向け英字新聞「ザ・ジャパン・アドバタイザー」に、「あなたのバレンタイン(=愛しい方)にチョコレートを贈りましょう」という広告を掲載。
このことから、モロゾフが日本で最初にバレンタインチョコを考案した人であると考えられています。
ただしバレンタインデーにチョコレートを贈る習慣が定着したのは1970年頃とされています。
デンマーククリームチーズケーキ
1969年、まだ日本ではチーズケーキが一般的ではない時代にチーズケーキを発売し、日本に第一次チーズケーキブームを起こしたといわれているモロゾフ。
そんなモロゾフのデンマーククリームチーズケーキを実際に食べてみました。
小さいサイズのホールも販売している
今回注文したのは2人前サイズのデンマークチーズケーキ。
14cmのホールです。14cmだと少し大きく感じますが、高さがないので、2人でちょうどいいくらいのサイズです。
最近のケーキ屋は1人前のカットケーキが充実している他、小さいサイズのホールケーキが増えました。
たとえばチーズタルト専門店のPabloでも小さいサイズのホールケーキのラインナップが充実しています。デパ地下系洋菓子屋のグラマシーニューヨークにしても、カットケーキが充実しています。
モロゾフにしても、以前は14cmのホールは存在しませんでした。
小さいサイズのケーキが増えているのは、少子化や単身世帯の増加で多いサイズのホールケーキを買う人が減っているからなのではと考えています。
ケーゼクーヘンを参考にしている
さて、モロゾフのチーズケーキですがタイプはベイクドチーズケーキです。タルト生地のような土台を使用していますが、もとはケーゼクーヘン(ドイツのケーキ)を土台にし、その上にデンマーク産のクリームチーズケーキを使用して作ったチーズケーキだそうです。
酸味が際立つ上品な味わい
口にいれて印象的だったのは、レモンの酸味。
一般的にチーズケーキは、レモン汁やレモンの皮を削ったものを入れて酸味を出すのですが、ほんのり感じる程度です。なかには酸味がほとんど感じられないチーズケーキもあります。特にベイクドは。
一方で、モロゾフのチーズケーキはしっかり酸味を感じられます。
この酸味が、柔らかい甘味と控えめな塩味に入り込み、上品で大人の味わいを演出しています。
ねっとりでもしっとりでもない程よい口溶け
しっとりとねっとりと中間くらいの程よい口当たり。
レアチーズケーキのようにしっとりしているわけでもなく、だからといってねっとりしているわけでもありません。目新しさはありませんが、シンプルであり程よい口溶けなのです。
また土台のクッキー生地はかなり柔らかく、「もそっ」とした食感。ザクザクやサクサクした食感はなく、優しい食感。
土台もチーズケーキも、どちらも控えめで優しい印象です。
デパ地下的チーズケーキ
- 酸味が際立つ上品な味
- フワッとした優しくて程よい口当たり
この2つの特徴はデパ地下のチーズケーキならではかもしれません。
というのも、以前紹介したグラマシーニューヨークのチーズケーキも同じ特徴を持っていたからです。
▶グラマシーニューヨークの解説をみる
グラマシーニューヨークも、モロゾフと同じく、デパ地下を中心にお店の展開しているお店です。
まだまだデパ地下のチーズケーキは未開のものが多いので、断定ではできませんが、
「優しくて控えめで上品さもあるも洋菓子」これはデパ地下のチーズケーキの特徴なのかもしれません。
老舗感のあるチーズケーキ
食べていて感じたのは、最近流行りのチーズケーキとはだいぶ違うということ。
最近のベイクドチーズケーキは濃厚さや重量感、ねっとり感や口溶けなどを追求したものがほとんど。たとえばバスクチーズケーキや半熟タイプのチーズケーキ、話題のミスターチーズケーキなどがその典型。
もちろんそれが悪いというわけではないのですが、目立ちやすいように極端な味や食感を追求しているような気がして、どこか冷めた目で見てしまうものがあります。
一方で、モロゾフのチーズケーキはそういった現在流行りのチーズケーキとはまったく違っています。
食感、舌触りも控えめであっさり。味も酸味を際立たせたものでパンチやドッシリした感じもない。最近のチーズケーキが好きな人には物足りなく感じるでしょう。
しかしだからこそ、最近のチーズケーキからは感じられない優しさや上品さなどを感じられます。
老舗だからこそ、知名度があるからこそのチーズケーキなのかもしれませんが、こういったシンプルで、控えめチーズケーキも非常に魅力的でもあります。
チーズケーキが好きな方にはぜひ一度食べてほしいチーズケーキです。
値段、解説、カロリーなど
値段 | 調査中 |
メニュー名 | デンマーククリームチーズケーキ |
チーズケーキのジャンル | ベイクドチーズケーキ |
カロリー | 684kcal (1ホール 14cm) |
日持ち | 当日中 |
購入方法 | 店頭で購入可能 |
デンマーク産クリームチーズのコクを、絶妙なレモンの風味で引き立てた、シンプルでありながらも奥行きのある味わい。伝統の製法で焼き上げたロングセラーのチーズケーキです。
公式サイトより
エダムチーズケーキミニ(現在販売しているかはわかりません)
今回はもう1つチーズケーキを食べています。
手のひらサイズのチーズケーキである、エダムチーズケーキミニです。
2017年頃から発売しているチーズケーキでチーズタルトにも近いルックス。一口か二口で食べられる手頃なサイズです。
小さいながらもかなりクオリティが高いスイーツでした。
タルト生地の味の加減、そしてなにより中身のチーズケーキにコクもあり、味に深みもあり小さいなかにチーズケーキの魅力が凝縮された逸品でした。
手のひらに載るくらいのサイズであり、またタルト生地に覆われているので、持ち運びにも便利。
「チーズケーキが食べたい。でもホールで買うのはちょっと…」というときにも、ちょっとした手土産にも非常に選びやすいチーズケーキです。
これは一度食べてみてほしい。
値段 | 162円 |
メニュー名 | エダムチーズケーキミニ |
チーズケーキのジャンル | ベイクドチーズケーキ |
日持ち | 当日中 |
購入方法 | 店頭で購入可能(一部の店舗では取り扱いがない場合も) |
濃厚なコクとチーズの食感楽しむ贅沢なあじわい。エダムチーズならではの、力強い味わいを活かした小さくてもリッチなチーズケーキです。
公式サイトより
レアチーズケーキミニ(現在販売しているかはわかりません)
こちらはレアチーズケーキミニ。1つ162円で、デパ地下の洋菓子専門店のケーキなのにコンビニスイーツよりも安いのです。
しかもおいしい。安いからといって、妥協しているわけではありません。
まず、ビスケット生地におおわれており、タルト感覚で手軽に食べることができます。
コクがあって口どけのいいレアチーズケーキは、甘みと酸味のバランスがいい感じです。またタルト生地がいい具合にボリュームも補ってくれており、重くないけど、適度に満足感があるバランスがとれたチーズケーキに仕上がっています。
先に紹介したエダムチーズケーキよりはさっぱりしていて、軽い印象です。軽めのチーズケーキが好きな方におすすめです。
沖縄アップルマンゴーのレアチーズケーキミニ(2020年8月31日まで)
2020年の夏頃に発売されたレアチーズケーキです。モロゾフが季節限定の商品をいれるイメージはありませんでしたが、こちらは思い切り夏限定のチーズケーキです。
話題づくりのために、季節に合わせた商品を発売していくつもりなのでしょうか。モロゾフから目が離せません。
表面にはホイップしたクリーム、そしてマンゴーのソースがトッピングされています。
期間限定なのが残念になるくらい、華やかな見た目をしたチーズケーキです。
値段は216円で、先のレアチーズケーキミニより若干高くなります。それでもこの華やかなスイーツが216円で買えるのは非常にお手頃です。
味に関しては大満足です。
フルーティーな甘さのアップルマンゴーソースと、ふわっとしていて風味がいい生クリームが上にあり、下には口どけがよくコクのレアチーズケーキです。
タルト生地はしっとり目で、ザクッとした感じはありませんが、レアチーズケーキのしっとりした口当たりとよくマッチしています。またふわっと感じるバターの風味もいいアクセントになっています。
全体的にバランスがよく、味も食感もボリューム感も、どれをとっても文句なしの完成度が高いチーズケーキです。
このおいしくてはなやかなチーズケーキを216円で発売しているモロゾフ。その企業努力を心の底から賞賛したいと思います。
レアチーズケーキにマンゴーのソースを流し、クリームシャンティ、マンゴーのソースをトッピング。甘く濃厚なマンゴーとレアチーズの爽やかな酸味をお楽しみいただける、夏にぴったりなレアチーズケーキです。
プリンとチーズケーキ(期間限定・一部店舗限定)
続いてこちらは、一部の店舗で期間限定で販売される「プリンとチーズケーキ」です。
モロゾフのプリンの上に、プリンに合うように作ったベイクドチーズケーキをのせたスイーツです。
プリンのまろやかな味にチーズケーキの塩味とコクがいいアクセントになっています。定期的に食べたいやみつきになる一品です。
値段 | 1個450円 2個900円 3個1350円 4個1800円 6個2700円 |
購入方法 | 主に催事で販売しているようです。一部の地域かつ、期間限定です。
今回は池袋西武の催事で購入しました。次回はいつ、どこで販売されるかはわかりません。 情報は公式サイトやInstagramで公開されるようです。 |
カロリー | 446kcal |
消費期限 | 当日中 |
以下のページではさらに詳しく感想を紹介しています。
モロゾフの公式サイトなど
公式サイトや各種リンク
モロゾフの公式Youtubeチャンネルの動画
一部店舗限定で販売されている白いチーズケーキは以下のページで紹介しています。
以上、モロゾフとモロゾフのチーズケーキについて紹介しました。当サイトでは他にも色々なお店のチーズケーキを紹介しています。デパ地下で有名なチーズケーキも紹介しています。
コメント